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大井美佳ピアノリサイタル
〜2台のブリュートナーを味わう〜

日時: 2014年9月14日(日)14時〜
場所: 広島ドイツリート協会代表
岡野泰子宅(限定30名)

興味深い、珍しいコンサートを行いました。

大井美佳さんについて
Blüthner について
プログラム
当日の模様


大井美佳さんについて

ピアニストの大井美佳さんは、1994年以来、師デムス氏の夏期講習アシスタントを務めています。
2013年11月のデムス氏による伴奏法公開講座に於いて通訳をお願いしました。

 

大井 美佳プロフィール
東京都出身。東京藝術大学ピアノ科、別科オルガン科卒業。
在学中よりチェンバロを含む多種類の鍵盤楽器の演奏、録音等で活躍。
卒業後、渡欧。ウィーン国立音大在学中、大学主催の各イヴェントにて、ウィーン楽友協会大ホール・ウィーン・コンツェルトハウス等で演奏、好評を博す。その間アントン・ブルックナー国際オルガンコンクール(リンツ・90年)最高位、イヴォンヌ・ルフェヴュール国際ピアノコンクール(「ドビュッシー・コンクール」、パリ・同年)第二位入賞後、本格的に演奏活動を開始。ウィーンを本拠地に、東欧を含むヨーロッパ各地、また南米等で、ソロ、室内楽、歌曲伴奏など幅広い分野で活躍。またソリストとして各地オーケストラとも共演。各地新聞で高い評価を得る。
日本でも東京を中心に定期的にリサイタルを開催。ヨーロッパでの体験を元に、コンサート、レクチャー、公開講座など精力的に活動。オルガン、ピアノ両楽器によるコンサートなども話題を呼び、また独特の語りを交えたサロンコンサートは、各地で好評を博している。 その他、独奏オルガン奏者としても多くの著名指揮者、合唱団等と共演、いずれも好評を博し、名室内楽、歌曲伴奏者としても定評がある。
「ラ・フォル・ジュルネ(東京)」2009年以降連続参加。その他CD録音、コンクール審査、病院などへの訪問コンサートなど精力的に活動を展開。
音楽研究会「ムジカ・アルカディア」主宰。ウィーン古典、またシューベルトやシューマンなど主に19世紀ロマン派の世界を中心に据えつつも、中世ルネサンスから近代、現代までとそのレパートリーは広い。近年では雅楽を含む様々なジャンルでの研鑽をも交え、デビュー20年を期に、その世界のさらなる深化を目指す。

Blüthner について

Blüthner(ブリュートナー)は、ドイツを代表するピアノメーカーのひとつで、同年に創業したSteinway&Sons(スタインウェイ&サンズ)とC.Bechstein(ベヒシュタイン)、そしてBösendorfer(ベーゼンドルファー)と並んで、世界四大ピアノメーカーと言われています。
通常ピアノは、1音に対して弦が3本張られていますが、ブリュートナーのピアノは独特の構造をしており、高音部にアリコート(共鳴弦)と呼ばれる4本目の弦が張られています(アリコートシステム)。
広島ドイツリート協会代表・岡野泰子宅の2台のBlüthnerは、1906年製、1912年製、どちらもライプチヒで作られ、長くデムス氏が所有し愛していた大変貴重なピアノです。2010年3月に1台目のピアノが岡野宅に設置された折には、デムス氏が演奏するホームコンサートを催しました。


プログラム

 

モーツァルト
幻想曲 c-moll KV.396
アルマンド KV.399(385i)
メヌエット(アンダンティーノ) KV.588b
小さなジーグ KV.574
アダージオ(1791) C-dur  KV.617a

シューマン
アラベスク  C-dur Op.18
4つの夜曲  Op.23
   しびとの行進
   おかしな人々
   夜の饗宴
   ソリストたちの輪唱

シューベルト
スケルツォ  B-dur D.593/1
ソナタ  a-moll Op.42 D.845

 (アンコール:シューベルトのレントラー)


当日の模様

奥に見えるBlüthnerが1906年製アリコートシステム、手前が1912年製です。

同じBlüthnerのピアノでも2台にははっきりと個性があります。
大井美佳さんによると、
1912年製Blüthnerはしっとり重めのドイツ風、
1906年製はウィーン風レトロな感じで軽く明るい
よって、プログラム前半モーツァルトとシューマンは1912年製、
後半のシューベルトは1906年製を弾いてみるのでそれぞれの個性を味わってほしいとのこと。

それぞれの作曲家と作品にまつわる話、
師デムス氏のレッスンエピソード゙など大変興味深いお話を交え、コンサートはすすみました。


休憩中はピアノの中を覗き込みました。





この部屋で、萩原麻未さんも
ジュネーブ国際コンクール優勝直後に
演奏を披露してくれたことがあります。

広島ドイツリート協会代表・岡野泰子宅に鎮座する2台のBlüthnerについては、製造されて100年以上経過しているため、維持が困難であるとか、すでに骨董品であるとか、さまざまな声があるそうですが、今一度、ヨーロッパの今に至る100年間の歴史を思い起こしてください。
第一次世界大戦・第二次世界大戦・ドイツ分断・再統一… 特に第二次世界大戦中の1943年には、他の多くのドイツのメーカーがそうであるように、ライプツィヒの工場が空襲で焼かれ屋根は焼け落ち楽器はもちろん材料となる木材もすべて焼き尽くされました。
その後ようやく市場にピアノを送り出すまでに回復したのは1948年のことです。また東ドイツ時代には一時国営化され、1990年の東西ドイツ統一を期に経営権がBlüthner家に返還されました。

100年にわたるヨーロッパ激動の歴史を吸い込んだBlüthnerが2台、今、広島の岡野宅に存在し、弾き比べ、聴き比べができることは本当に幸せなことだと感慨深いものがあります。



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