広島ドイツリート教会創立15周年  広島ドイツリート教会合唱団創立10周年
記念演奏会
イェルク・デムスと共に
〜モーツァルト シューマン 記念の年に〜

2006年11月10日 広島県民文化センター 大ホール



第1部
・・・イェルク・デムスの伴奏による合唱・・・

指 揮 岡野泰子
ピアノ J.デムス
1.ラウダテ ドミヌム 〜主を讃えよ〜
 Laudate Dominum KV.339(合唱部分のみ)   W.A.モーツァルト
1780年にザルツブルクで作曲された、ヴェスペレ「証聖者の盛儀晩課」の第5曲で、天上的美しさを湛えた優美な旋律をもつ。ヴェスペレとは、カトリックの聖務日課の中で日没時に執り行われる晩課のお祈りのことで、主に詩篇が数編唱えられる。中世以来、多数の作曲家によって晩課の多声音楽が作られている。
今回はソプラノ独唱を省き、合唱部分のみ演奏された。
2.アヴェ・ヴェルム・コルプス 〜まことの御体〜
 Ave verum Corpus KV.318          W.A.モーツァルト
1791年、バーデンで作曲された。聖体(イエスの体としてのパン、ホスティア)を賛美する歌で、カトリックの典礼の中では「聖体降福式」で歌われる。モーツァルトはザルツブルク時代、18曲のミサ曲を含め多数の教会音楽を作曲した。25才からのウィーン時代には、「ハ短調ミサ」、「アヴェ ヴェルム コルプス」、「レクイエム」のわずか3曲の教会作品しか書いていないが、いずれも音楽史に残る名曲である。
以上2曲は、広島ドイツリート教会合唱団とは姉妹合唱団的存在である、合唱団『かざぐるま』『コール・ウィスタリア』有志メンバーも加わっての演奏となった。
3.菩提樹 Der Lindenbaum  F.シューベルト
1827年に作曲された歌曲集「冬の旅」の第5曲である。民謡風の美しい調べによって広く愛されている、ドイツリートの名曲である。葉のざわめきを思わせる前奏に始まり、郷愁を誘う温かなメロディーを歌い重ねていくが、中間部で風が吹きすさぶ場面では、冷たい現実を反映して曲想も大きく変わる。
混声部『リンデンバウム』命名の由来ともなったこの曲は、2005年10月に結成された混声部にとって初めて取り組んだドイツリートであるだけに、思い入れの深い曲でもある。
今回は、同じく『菩提樹』をレパートリーとする『ムーゼンクライス』の有志メンバーも加わっての演奏となった。
4.自然の中の神 Gott in der Natur  F.シューベルト
1822年に作曲されたもので、シューベルトのオリジナルの女声合唱曲5曲のうちの1つである。C.E.クライストの宗教詩「頌歌」の冒頭の4節が歌詞として用いられている。万物を創造し、自然界の営みのすべてを統べる偉大な神を熱烈に賛美した曲である。最終部分で、Sop.の高音がhigh Cまである大変な難曲である。
5.セレナード Staendchen   F.シューベルト
1827年作曲。知人のピアノ教師アンナ・フレーリヒの依頼によって、彼女の教え子ルイーゼ・ガイスマンの17才の誕生日を祝う曲として作られ、誕生日当日の夕方、ルイーゼの部屋の窓の下で、文字通りセレナードとして演奏された。
この曲は、女声部『ムーゼンクライス』の初期からレパートリーとして愛唱されてきたいわば「おはこ」であり、過去の演奏会においても、岡野泰子代表のアルトソロとともに何度か演奏された。今回は、演奏会当日にデムス氏のアイディアにより、曲の終盤に“leise・・・leise・・・”とささやくように歌いながら、合唱団員は靴を脱ぎひっそりとステージ袖に去り、演奏終了後デムス氏も靴をぬぎ忍び足でステージを去るという、微笑ましい演出が加えられた。
6.流浪の民 Zigeunerleben   R.シューマン
シューマンの所謂「歌の年」1840年に作曲された。同時代に活躍したE.ガイベルの3つの詩に付曲された、多声部のための歌曲集の第3曲で、暗く情熱的なピアノのリズムにのせて、彷徨うジプシーの一夜の情景が描写されている。シューマンの合唱曲の中で最も有名なもので、日本では石倉小三郎の名訳によって広く親しまれている。
7.ジプシーの歌(全8曲) Zigeinerlieder   J.ブラームス
1887〜1888年に作曲された。原曲はピアノ伴奏をもつSop.Alt.Ten.Bas.の各独唱曲で,全11曲から成る。ハンガリー・ジプシーの旋律を用いたブラームスの作品の中で、『ハンガリー舞曲』と並ぶ代表作で広く愛好されている。全曲4分の2拍子で書かれており、ジプシーの憂いや情熱をそれぞれ異なる技法を駆使して、色彩豊かに音響化している。
今回は第1部 合唱の最後を締めくくる曲として、女声部・混声部のジョイントにより第1〜7曲、11曲が演奏された。

広島ドイツリート協会合唱団 女声部 『ムーゼンクライス』/1・2・4・5・7
広島ドイツリート協会合唱団 混声部 『リンデンバウム』/3・6・7
『合唱団かざぐるま』『コール・ウィスタリア』各有志/1・2





第2部
・・・イェルク・デムスによるピアノ独奏・・・


1.子供の情景 Kinderszenen op.15  R.シューマン
1838年、シューマンの創作力が最も充実した時期に作曲された。表題をもつロマン的組曲のうちで最もよく知られており、全13曲で構成されている。第7曲「トロイメライ」は、単独でも演奏され特に有名である。各曲に付けられた表題は、演奏や理解がし易いように後から付けられたものである。この作品についてシューマンは後年、「子供の情景は、子供のための曲ではなくて、むしろ年とった人の回想であり、年とった人のためのものである。」と書いている。いつまでも夢や憧れを持ち続ける、大人たちのための曲集でもあると言える。
2.フモレスケ Humoreske op.20   R.シューマン
1839年にウィーンで作曲された。自由な形式による大規模で即興的な作品である。フモレスケ(仏語ではユモレスク)とは、19世紀の器楽曲の中で、空想的・諧謔的で、いくらか気まぐれな性格をもつ曲をいう。シューマン自身の言葉によれば、「情緒的なものと機知的なものを適度に融合したもの」である。全曲切れ目なく演奏されるが、大きく分けて6つの部分から成る。各部は感情の赴くまま極めて自由に構成されており、旋律も調性もテンポも目まぐるしく変化するが、変奏曲風な技巧で旋律間に関連がおかれており、有機的な統一が図られている。よく知られている「ユーモレスク」は、ドヴォルザークの作曲によるものである。